Santa Works.
親として / 公開データの整理

小学生167人。
この数字を、届く人に渡したいです。

前の記事で、娘にスマホを渡すかどうかを決めかねている話を書きました。その続きで公開データを見に行ったら、思っていたより重い数字が出てきました。SNSがきっかけで被害にあった小学生は、令和7年に167人。前年より22.8%増えています。私の発信は弱いです。それでも、定義と母数まで揃えて整えておけば、ちゃんと届く人の材料になるかもしれない。そう思って書いています。

Santa Works2026.07.28読了 約6分出典つき / 一次資料から

この記事のポイント

  1. 01被害児童は令和7年に1,566人で増加に転じ、小学生は167人(前年比+22.8%)
  2. 02最初に投稿したのは被害児童自身が74.2%。その内容で最も多いのは「プロフィールのみ」と「日常生活」でした。
  3. 03被害児童の89.2%がフィルタリングを使っていません。ここは家庭の側で動かせる数字です。
起きていること
01

減っていた数字が、増加に転じました

警察庁が毎年出している統計に「SNSに起因する事犯の被害児童数」という項目があります。令和7年分が2026年2月26日に公表されています※1

SNSに起因する事犯の被害児童数(令和7年/18歳未満)
1,566
全体。前年は1,486人(+5.4%)
警察庁(令和7年)
167
うち小学生(10.7%)。前年比 +31人
同上
+22.8%
小学生の前年からの増加率
同上
中学生は758人(48.4%)、高校生は579人(37.0%)。高校生は減っているのに、小学生だけ増えています。

全体で見ると、平成30年代は年間1,700〜2,000人台で、令和6年に1,486人まで下がっていました。それが令和7年に 1,566人へ戻っています。一方で小学生は平成28年の43人から、9年で167人——約3.9倍です。

この統計の定義(ここを外すと数字が意味を失います)

「SNS」には通信ゲームが含まれ、届出のある出会い系サイトは除かれます。また「SNSに起因する事犯」とは、SNSを通じて面識のない被疑者と被害児童が知り合い、交際や知人関係等に発展する前に被害にあった事犯を指します。対象は児童福祉法違反、児童買春・児童ポルノ禁止法違反、青少年保護育成条例違反、重要犯罪等、面会要求等、性的姿態撮影等処罰法の罪です※1

いちばん重い数字
02

「危ないことを書かなければ大丈夫」は、成り立ちません

同じ統計に「最初に投稿した者」という項目があります。ここを読んで、手が止まりました。

74.2%(1,162人)
最初に投稿したのは、被害児童自身。被疑者側からの投稿は 239人(15.3%)でした※1

では、子どもたちは何を書いていたのか。ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

被害児童の投稿内容(令和7年・母数は自ら投稿した1,162人)
18.1%
プロフィールのみ(210人)
最多
14.9%
日常生活(173人)
2番目
5.9%
自画撮り(69人)
同調査
ほかに援助交際募集 150人(12.9%)、趣味・嗜好 131人(11.3%)、友達募集 129人(11.1%)、出会い目的 87人(7.5%)、家出 30人(2.6%)、悩み相談 17人(1.5%)。

いちばん多いのは、自己紹介と、ふだんの出来事でした。危ない投稿をしたから狙われた、という順番ではありません。

ふつうの投稿が、
入口になっている

だから「変なことを書かなければ平気」という教え方は、効きません。

⚠️ この数字の、間違った読み方

「子どもが自分から投稿したのが悪い」とは読めません。悪いのは、その投稿を見て近づいてきた大人のほうです。この統計は加害の責任を測るものではなく、どこが入口になっているかを示すものです。読み替えると、子どもに「あなたのせいだ」と伝わってしまいます。私は娘に説明するとき、この一行を最初に置くことにしました。

動かせるところ
03

家庭の側で動かせる数字が、ひとつあります

89.2% が未使用
被害児童のうち、フィルタリングを使っていなかった割合。利用ありは83人、利用なしは688人(利用の有無が判明した771人が母数)※1

そしてアクセス手段は、1,566人のうち1,529人(97.6%)がスマートフォンです。パソコンやゲーム機ではなく、手元の1台に集まっています。

一方で、こども家庭庁の調査では、小学生(10歳以上)にスマホを持たせている保護者のうち、契約時にフィルタリングへ加入したのは58.4%、加入しなかったのは31.6%です※2

2つの調査を並べるときの注意

※1と※2は調査主体も母数も対象もまったく違います(前者は被害にあった児童、後者は一般の保護者アンケート)。直接の比較はできません。ここでは「被害側では未使用が多い」「一般側でも3割が未加入」というそれぞれの傾向としてだけ並べています。

それでも、家庭が渡す日に決められることは、はっきりしていると思いました。あとから入れるのは、本人が不便を知ったあとになるので難しくなります。

立ち位置
04

私にできるのは、たぶんここまでです

私は研究者でも、教育の専門家でも、子どもの安全にかかわる仕事の人でもありません。開業したばかりの個人事業で、この文章が届く範囲もごく狭いです。「気をつけましょう」と私が書いても、たいして意味がありません。

だから、この記事では解釈をできるだけ足さず、数字と定義と母数だけを揃えました。統計の定義、対象犯罪の範囲、比較できない箇所、母数の違い——全部本文に書いたのは、そのためです。整えてあれば、そのまま使えるからです。

声の大きい人の手に、
この数字が渡ることを願っています。

学校の先生、自治体の方、報道の方、子どもの安全を仕事にしている方。もしこのページに行き当たって、数字のどれかが役に立つなら、出典から直接引いてお使いください。私の名前は要りません。間違いを見つけたら、教えていただけるとありがたいです(contact@santaworks.net)。直します。

参考文献・出典

  1. ※1 警察庁 生活安全局 人身安全・少年課「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況」(2026年2月26日公表) npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/pdf_r7_syonenhikoujyokyo.pdf
    第5「SNSに起因する事犯」より。被害児童数 1,566人/学職別(小学生167人・10.7%、中学生758人・48.4%、高校生579人・37.0%、その他)/アクセス手段(スマートフォン1,529人)/フィルタリング利用状況(利用あり83人・利用なし688人、判明分771人)/最初に投稿した者(被害児童1,162人・74.2%)/投稿内容の内訳。
  2. ※2 こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」(2026年2月) cfa.go.jp/policies/youth-kankyou/internet_research/results-etc
    こどもが使うスマートフォンのフィルタリング加入状況(小学生〈10歳以上〉の保護者 n=433。契約時または契約変更時に加入 58.4%/加入しなかった 31.6%)。

※ 本記事は公表されている統計をもとに構成しています。数値は各調査時点のものです。
※ 令和5年7月12日以前の「不同意わいせつ」「不同意性交等」は 「強制わいせつ」「強制性交等」であり、それ以前の年次と単純には比較できません(出典※1 の注記)。
※ 本記事は法律・医療・教育上の助言を目的とするものではありません。個別のご心配は、警察相談専用電話(#9110)や各自治体の相談窓口にご相談ください。

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