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離婚の理由は不倫だと思っていたら、5番目でした

不倫が原因の離婚は、年に何件あるのか。探しても、その数字は出てきませんでした。 日本の離婚の87.5%は協議離婚で、理由を書く欄がないからです。 記録が残るのは、話がつかずに裁判所へ行った12.5%だけ。 その中を数えてみたら、順番が思っていたのと違いました。

Santa Works2026.08.07読了 約5分出典つき / 一次資料から
2024年の離婚185,904人口動態調査。前年より2,090件増えています
うち協議離婚87.5%162,682件。理由を書く欄はありません
妻からの申立て・1位16,503「性格が合わない」。2位は12,461件です
同じく「異性関係」は5,7435番目でした。夫からの申立てでは3番目です
  1. 01離婚の87.5%は協議離婚で、 理由はどこにも記録されていません。
  2. 02裁判所へ行った人の申立てでは、異性関係は妻から5番目・夫から3番目でした。
  3. 03男女とも1位は「性格が合わない」。 取れた4年ぶん、順位は動きませんでした。
はじまりは、ただの疑問でした
01

何件なんだろう、と思った

不倫が原因の離婚は、年に何件あるんだろう。 ふと気になって、調べはじめました。

世の中の話題としてはよく見かけるので、 数字くらいはすぐ出てくると思っていました。

聞かれていない9割弱
02

そもそも、ほとんど聞かれていません

FIG 01
理由を書く欄があるのは、右の12.5%だけ
e-Stat 人口動態調査 2024年
2024年の離婚 185,904件協議離婚 162,682件調停離婚 14,260件審判離婚 4,626件和解離婚 2,378件判決離婚 1,948件認諾離婚 10件協議離婚 87.5%ここから右が、裁判所へ行った12.5%協議離婚に、理由を書く欄はありません
2024年の離婚 185,904件協議離婚 162,682件調停離婚 14,260件審判離婚 4,626件和解離婚 2,378件判決離婚 1,948件認諾離婚 10件協議離婚 87.5%ここから右が裁判所へ行った12.5%協議離婚に、理由を書く欄はありません
協議離婚は夫婦の合意を役所に届け出るもので、動機は記録されません。

2024年の離婚は185,904件。 そのうち162,682件、87.5%が協議離婚です※1

夫婦で話がついて、役所に紙を出して終わり。理由を書く欄はありません。

理由が記録されているのは、話がつかずに家庭裁判所へ行った、 残りの12.5%だけです。

読み方の注意が、先に要ります
03

数えているのは、裁判所です

その12.5%のほうには、統計があります。 最高裁判所が毎年出している司法統計の、第19表。 「婚姻関係事件数―申立ての動機別」という表で、申し立てた人が何を理由に挙げたかが13の項目で数えられています※2

ひとつ、読み方の注意があります。

申立ての動機は、申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計した。

司法統計年報 家事編 第19表の注記

1人が3つまで選べるので、足しても人数にはなりません。

FIG 02
のべ数は、人数ではない
司法統計 令和6年 第19表
妻からの申立て(2024年)申し立てた人43,033申し立てた人 43,033選ばれた動機ののべ数78,461選ばれた動機ののべ数 78,4611人が3つまで挙げられるので、のべ数は人数の約1.8倍。足しても人数にはなりません。
妻からの申立て(2024年)申し立てた人43,033申し立てた人 43,033選ばれた動機ののべ数78,461選ばれた動機ののべ数 78,4611人が3つまで挙げられるので、のべ数は人数の約1.8倍。足しても人数にはなりません。
注記に「主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計した」とあります。

なので以下は「何人が離婚したか」ではなく、「どの言葉が何回選ばれたか」の数です。

順番を見てみる
04

不倫は、5番目でした

FIG 03
妻からの申立て。異性関係は5番目
司法統計 令和6年 第19表
妻からの申立て 43,033人性格が合わない性格が合わない 16,50316,503生活費を渡さない生活費を渡さない 12,46112,461精神的に虐待する精神的に虐待する 11,28811,288暴力を振るう暴力を振るう 7,6907,690異性関係異性関係 5,7435,743浪費する浪費する 3,6623,662性的不調和性的不調和 2,8622,862家庭を捨てて省みない家庭を捨てて省みない 2,5442,544酒を飲み過ぎる酒を飲み過ぎる 2,4792,479家族親族と折り合いが悪い家族親族と折り合いが悪い 2,3582,358同居に応じない同居に応じない 974974病気病気 948948
妻からの申立て 43,033人性格が合わない性格が合わない 16,50316,503生活費を渡さない生活費を渡さない 12,46112,461精神的に虐待する精神的に虐待する 11,28811,288暴力を振るう暴力を振るう 7,6907,690異性関係異性関係 5,7435,743浪費する浪費する 3,6623,662性的不調和性的不調和 2,8622,862家庭を捨てて省みない家庭を捨てて省みない 2,5442,544酒を飲み過ぎる酒を飲み過ぎる 2,4792,479家族親族と折り合いが悪い家族親族と折り合いが悪い 2,3582,358同居に応じない同居に応じない 974974病気病気 948948
「その他」「不詳」は理由ではないので外しました。

2024年、妻から申し立てた人は 43,033人。 多い順に、性格が合わない16,503、 生活費を渡さない12,461、 精神的に虐待する11,288、 暴力を振るう7,690

異性関係は5番目で、5,743でした。

FIG 04
夫からの申立て。異性関係は3番目
司法統計 令和6年 第19表
夫からの申立て 15,396人性格が合わない性格が合わない 9,2339,233精神的に虐待する精神的に虐待する 3,3583,358異性関係異性関係 1,8201,820浪費する浪費する 1,7641,764家族親族と折り合いが悪い家族親族と折り合いが悪い 1,6991,699性的不調和性的不調和 1,6221,622暴力を振るう暴力を振るう 1,4411,441同居に応じない同居に応じない 1,3591,359生活費を渡さない生活費を渡さない 882882家庭を捨てて省みない家庭を捨てて省みない 717717病気病気 629629酒を飲み過ぎる酒を飲み過ぎる 377377
夫からの申立て 15,396人性格が合わない性格が合わない 9,2339,233精神的に虐待する精神的に虐待する 3,3583,358異性関係異性関係 1,8201,820浪費する浪費する 1,7641,764家族親族と折り合いが悪い家族親族と折り合いが悪い 1,6991,699性的不調和性的不調和 1,6221,622暴力を振るう暴力を振るう 1,4411,441同居に応じない同居に応じない 1,3591,359生活費を渡さない生活費を渡さない 882882家庭を捨てて省みない家庭を捨てて省みない 717717病気病気 629629酒を飲み過ぎる酒を飲み過ぎる 377377
夫と妻で順番は違いますが、1位は同じです。

夫から申し立てた人は 15,396人で、こちらは順番が少し違います。 性格が合わない9,233、 精神的に虐待する3,358、そして異性関係が3番目で1,820

男女どちらから見ても、いちばん多いのは「性格が合わない」でした。

差のほうが、驚きでした
05

差が、思っていたより大きい

FIG 05
夫は6割が「性格が合わない」
司法統計 令和6年 第19表
夫からの申立て 15,396人のうち性格が合わない 9,233性格が合わない 60%妻からの申立て 43,033人のうち性格が合わない 16,503性格が合わない 38%
夫からの申立て 15,396人のうち性格が合わない 9,233性格が合わない 60%妻からの申立て 43,033人のうち性格が合わない 16,503性格が合わない 38%
3つまで挙げられるため、項目の合計は100%を超えます。

順番が違うだけなら、まだ分かります。差が大きい。

夫の場合、15,396人のうち 9,233人ですから、申し立てた人の6割が選んでいます。 2番目の「精神的に虐待する」が 3,358なので、3倍近い開き。 妻のほうも、1位の16,503に対して2位が12,461です。

FIG 06
4年とも、1位は動かない
司法統計 令和3〜6年 第19表
妻からの申立て・1位と、異性関係20212021 性格が合わない 17,74317,7432021 異性関係 6,5746,57420222022 性格が合わない 16,17016,1702022 異性関係 5,6575,65720232023 性格が合わない 15,83515,8352023 異性関係 5,3625,36220242024 性格が合わない 16,50316,5032024 異性関係 5,7435,743上が「性格が合わない」、下が「異性関係」。4年とも順位は同じ
妻からの申立て・1位と、異性関係20212021 性格が合わない 17,74317,7432021 異性関係 6,5746,57420222022 性格が合わない 16,17016,1702022 異性関係 5,6575,65720232023 性格が合わない 15,83515,8352023 異性関係 5,3625,36220242024 性格が合わない 16,50316,5032024 異性関係 5,7435,743上が「性格が合わない」、下が「異性関係」。4年とも順位は同じ
2020年以前は年報本体が公開されていないため、遡れたのは4年ぶんです。

これは2024年だけの話ではありませんでした。2021年から2024年まで、4年とも、男女とも1位は「性格が合わない」です。異性関係は、妻からの申立てでは4年とも5番目でした※3

選択肢そのものを見る
06

では、「性格が合わない」とは何なのか

FIG 07
13のうち、12は何が起きたかが分かる
司法統計 令和6年 第19表
申立ての動機として並んでいる選択肢性格が合わない異性関係暴力を振るう酒を飲み過ぎる性的不調和浪費する病気精神的に虐待する家庭を捨てて省みない家族親族と折り合いが悪い同居に応じない生活費を渡さないその他12個は、何が起きたのかが読めば分かる言葉です。いちばん多く選ばれているものだけ、何も分かりません。
申立ての動機として並んでいる選択肢性格が合わない異性関係暴力を振るう酒を飲み過ぎる性的不調和浪費する病気精神的に虐待する家庭を捨てて省みない家族親族と折り合いが悪い同居に応じない生活費を渡さないその他12個は、何が起きたのかが読めば分かる言葉です。いちばん多く選ばれているものだけ、何も分かりません。
選択肢そのものです。並び順は表のとおり。

選択肢を並べてみると、他の12個はどれも、 何が起きたのかが分かる言葉です。

暴力を振るう。酒を飲み過ぎる。生活費を渡さない。家庭を捨てて省みない。 読めば、その家で何があったのか、だいたい想像がつきます。

「性格が合わない」だけ、何も分かりません。何があったのかは書かれていなくて、合わなかった、という結果だけがあります。 そして、いちばん多く選ばれているのが、これです。

自分のことを考えました。 私も、アンケートで理由を聞かれて、本当のことを書きたくないときがあります。 そういうとき、嘘は書かないけれど、いちばん角の立たない、いちばん広い選択肢を選びます。 間違ってはいないので。

数えられているもの
07

理由ではなく、言わないための言葉

統計に出ているのは、その人に起きたことではありません。その人が選んだ言葉です。

「性格が合わない」は、理由ではなくて、理由を言わないための言葉なのかもしれません。 だとすると、いちばん多く選ばれているのは、当たり前のことになります。

不倫の数字が見つからなかったのも、たぶん同じ理由です。

参考文献・出典

  1. ※1 厚生労働省「人口動態調査」上巻 離婚の種類別にみた年次別離婚件数及び百分率 (2024年)。e-Stat の統計表 ID 0003411863 から取得しました。
  2. ※2 最高裁判所「司法統計年報 3 家事編」令和6年 第19表 「婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別―全家庭裁判所」。
  3. ※3 同 令和3年〜令和6年。2020年以前は年報の本体が公開されていないため、 遡れたのは4年ぶんです。

※ 申立ての動機は1人につき3個まで挙げる重複集計です。 項目を足しても人数にはならず、割合の合計も100%を超えます。
※ これは婚姻関係事件の申立ての数であって、 離婚が成立した件数ではありません。申し立てたあとに取り下げた人も含みます。
※ 順位を出すとき、「その他」と「不詳」は外しました。 理由の名前ではないためです。
※ 協議離婚に理由が記録されないことを、制度の欠陥として書いてはいません。 離婚届は理由を届け出る書類ではない、というだけの話です。

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