離婚の理由は不倫だと思っていたら、5番目でした
不倫が原因の離婚は、年に何件あるのか。探しても、その数字は出てきませんでした。 日本の離婚の87.5%は協議離婚で、理由を書く欄がないからです。 記録が残るのは、話がつかずに裁判所へ行った12.5%だけ。 その中を数えてみたら、順番が思っていたのと違いました。
- 01離婚の87.5%は協議離婚で、 理由はどこにも記録されていません。
- 02裁判所へ行った人の申立てでは、異性関係は妻から5番目・夫から3番目でした。
- 03男女とも1位は「性格が合わない」。 取れた4年ぶん、順位は動きませんでした。
何件なんだろう、と思った
不倫が原因の離婚は、年に何件あるんだろう。 ふと気になって、調べはじめました。
世の中の話題としてはよく見かけるので、 数字くらいはすぐ出てくると思っていました。
そもそも、ほとんど聞かれていません
2024年の離婚は185,904件。 そのうち162,682件、87.5%が協議離婚です※1。
夫婦で話がついて、役所に紙を出して終わり。理由を書く欄はありません。
理由が記録されているのは、話がつかずに家庭裁判所へ行った、 残りの12.5%だけです。
数えているのは、裁判所です
その12.5%のほうには、統計があります。 最高裁判所が毎年出している司法統計の、第19表。 「婚姻関係事件数―申立ての動機別」という表で、申し立てた人が何を理由に挙げたかが13の項目で数えられています※2。
ひとつ、読み方の注意があります。
申立ての動機は、申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計した。
司法統計年報 家事編 第19表の注記
1人が3つまで選べるので、足しても人数にはなりません。
なので以下は「何人が離婚したか」ではなく、「どの言葉が何回選ばれたか」の数です。
不倫は、5番目でした
2024年、妻から申し立てた人は 43,033人。 多い順に、性格が合わない16,503、 生活費を渡さない12,461、 精神的に虐待する11,288、 暴力を振るう7,690。
異性関係は5番目で、5,743でした。
夫から申し立てた人は 15,396人で、こちらは順番が少し違います。 性格が合わない9,233、 精神的に虐待する3,358、そして異性関係が3番目で1,820。
男女どちらから見ても、いちばん多いのは「性格が合わない」でした。
差が、思っていたより大きい
順番が違うだけなら、まだ分かります。差が大きい。
夫の場合、15,396人のうち 9,233人ですから、申し立てた人の6割が選んでいます。 2番目の「精神的に虐待する」が 3,358なので、3倍近い開き。 妻のほうも、1位の16,503に対して2位が12,461です。
これは2024年だけの話ではありませんでした。2021年から2024年まで、4年とも、男女とも1位は「性格が合わない」です。異性関係は、妻からの申立てでは4年とも5番目でした※3。
では、「性格が合わない」とは何なのか
選択肢を並べてみると、他の12個はどれも、 何が起きたのかが分かる言葉です。
暴力を振るう。酒を飲み過ぎる。生活費を渡さない。家庭を捨てて省みない。 読めば、その家で何があったのか、だいたい想像がつきます。
「性格が合わない」だけ、何も分かりません。何があったのかは書かれていなくて、合わなかった、という結果だけがあります。 そして、いちばん多く選ばれているのが、これです。
自分のことを考えました。 私も、アンケートで理由を聞かれて、本当のことを書きたくないときがあります。 そういうとき、嘘は書かないけれど、いちばん角の立たない、いちばん広い選択肢を選びます。 間違ってはいないので。
理由ではなく、言わないための言葉
統計に出ているのは、その人に起きたことではありません。その人が選んだ言葉です。
「性格が合わない」は、理由ではなくて、理由を言わないための言葉なのかもしれません。 だとすると、いちばん多く選ばれているのは、当たり前のことになります。
不倫の数字が見つからなかったのも、たぶん同じ理由です。
参考文献・出典
- ※1 厚生労働省「人口動態調査」上巻 離婚の種類別にみた年次別離婚件数及び百分率 (2024年)。e-Stat の統計表 ID 0003411863 から取得しました。
- ※2 最高裁判所「司法統計年報 3 家事編」令和6年 第19表 「婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別―全家庭裁判所」。
- ※3 同 令和3年〜令和6年。2020年以前は年報の本体が公開されていないため、 遡れたのは4年ぶんです。
※ 申立ての動機は1人につき3個まで挙げる重複集計です。 項目を足しても人数にはならず、割合の合計も100%を超えます。
※ これは婚姻関係事件の申立ての数であって、 離婚が成立した件数ではありません。申し立てたあとに取り下げた人も含みます。
※ 順位を出すとき、「その他」と「不詳」は外しました。 理由の名前ではないためです。
※ 協議離婚に理由が記録されないことを、制度の欠陥として書いてはいません。 離婚届は理由を届け出る書類ではない、というだけの話です。