Santa Works.

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お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆さまに謹んでお悔やみを申し上げます。いまも安否の分からない方の一日も早い救出と、被災された地域に穏やかな日常が戻ることを願っております。

公開データ

昔の夏は涼しかった、を
50年分の記録で確かめました

最近、夏の暑さに耐えられなくなってきました。こどもの頃は、こうではなかった気がします。ただ、これは年齢のせいかもしれません。「昔はよかった」は、いちばん疑ったほうがいい種類の記憶です。だから、公開されている気温の記録で確かめました。

Santa Works2026.07.29読了 約7分公開データ / 出典つき

この記事のポイント

  1. 01東京の猛暑日は、10年平均で1.4日から13.0日へ。「昔は涼しかった」は本当でした
  2. 02猛暑日が1日もない夏が、かつては2年に1回あった。直近10年はゼロ
  3. 03暑い日が増えただけでなく、夏の期間が前後に伸びた。6月末から9月半ばまで
  4. 04確かめる途中で計算が合わなくなった。東京の観測地点は2014年に引っ越していた
01

50年分を開いてみました

こどもの頃の記憶で、ひとつはっきりしているものがあります。夏の朝、「今日は30度を超えるらしい」という話が、家族のあいだで出ました。テレビだったか、ラジオだったか。だれかがそう言って、みんなが少し身構える。

30度は、わざわざ口に出す数字でした。いまは、その言い方をしません。

気象庁の「過去の気象データ検索」から、東京の日ごとの気温を落としました。1976年から2025年まで、6月1日から9月30日まで。50年 × 122日 ぶんです。

見るのは気温そのものではなく、日数にしました。「あの年は平均何度でした」は覚えていませんが、「暑い日が何日続いたか」なら、体が覚えているはずだからです。

数えたのは猛暑日(最高気温35℃以上)と真夏日(同30℃以上)の2つ。

02

猛暑日は、1.4日から13.0日になっていました

猛暑日は、1.4日から13.0日になりました

東京・6〜9月に日最高気温が35℃以上だった日数/10年ごとの平均

1976–1985
1.4
1986–1995
3.2
1996–2005
3.3
2006–2015
6.2
2016–2025
13.0
気象庁「過去の気象データ検索」東京(47662)の日別値から集計。1976〜2025年。

気のせいではありませんでした。私がこどもだった頃の東京の夏には、35℃を超える日が、10年の平均で年に1.4日しかありません。いまは13.0日あります。

真夏日のほうも、41.1日から64.4日へ。3週間ぶん以上増えています。朝の話題になっていた30度は、いまは夏のあいだに64日あります。

ちなみに直近の2025年は、猛暑日29日、真夏日87日でした。猛暑日は、50年でいちばん多い年です。真夏日のほうは、2023年の88日に次いで2番目でした。

03

「猛暑日のない夏」が、半分ありました

平均の話をすると、どうしても薄まります。年ごとに並べたほうが、たぶん体感に近い。

5
1976年から1985年の10年のうち、猛暑日が1日もなかった年。1977・1979・1980・1981・1982年。直近の10年(2016–2025年)はゼロです。

35℃を超えない夏。それが2年に1回あった、ということになります。私が覚えている「涼しかった夏」は、たぶんこのどれかです。

04

暑い日が増えたのではなく、夏が伸びていました

平均も年ごとの数も、結局は「何日あったか」の話です。いつあったかを見ていませんでした。

そこで、50年ぶんの猛暑日を1日ずつ打ってみました。1年を1本の線にして、50年ぶんを並べています。

猛暑日を、1日ずつ打ってみました

東京・35℃以上の日/1976〜2025年の6月1日〜9月30日

6月7月8月9月1976198019902000201020202025← 大手町北の丸公園 →2014年12月2日に観測地点が移転。猛暑日は北の丸公園のほうが少なく出る
6月7月8月9月1976198019902000201020202025↑ 大手町 / ↓ 北の丸公園2014年12月に観測地点が移転(→ §06)
1マスが1日。点線は2014年12月の観測地点の移転(→ §06)。狭い画面では縦横を入れ替えた図に切り替わります。

古い年のほうが、私の覚えている夏です。点がまばらで、8月に固まっています。1976年から1985年でいちばん早い猛暑日は8月7日、いちばん遅くて9月3日でした。

新しい年へ進むほど点が増え、そして夏の前後へ広がります。2022年は6月25日に始まり、2024年は9月18日まで続きました。

暑い日が増えたというより、夏そのものが前後に伸びた、という言い方のほうが近そうです。耐えられなくなったのは、暑さの高さではなく、長さのほうかもしれません。

05

これは東京だけの話でしょうか

ここで、当然の疑問が出ます。東京はビルとアスファルトが増えました。都市が暑くなっただけではないか、と。

気象庁は長期変化の分析に、都市化の影響が比較的少ない15地点を使い分けています。そのうち5地点について、夏(6〜8月)の平均気温を30年ずつ区切って計算しました。平年値と同じつくり方です。

都市化の影響が少ない5地点でも、上がっています

夏(6〜8月)の平均気温・30年平均

1961〜1990年1991〜2020年宮崎 25.64℃26.18℃ +0.54彦根 24.25℃25.14℃ +0.89伏木 23.73℃24.23℃ +0.50山形 22.37℃23.08℃ +0.71石巻 20.87℃21.25℃ +0.38
夏(6〜8月)の平均気温・30年平均1961〜1990年1991〜2020年2021222324252627宮崎+0.54彦根+0.89伏木+0.50山形+0.71石巻+0.38
気象庁「過去の気象データ検索」の月別値から計算。表示は小数2桁で、差も表示値どうしの引き算に合わせている。

5本とも、右上がりでした。上がり幅は石巻の+0.38℃から彦根の+0.89℃まで。

日数でも同じです。山形の猛暑日は、1976–1985年の平均3.7日から、2016–2025年は11.4日になっていました。東京だけの話ではありませんでした。

06

暑さを測っていたら、ものさしが動いていました

ここまで書いて、ひとつ気づいたことがあります。

上の図と同じやり方で、東京の1991年から2020年の平均を出したら、7月は26.31℃になりました。ところが気象庁が公表している東京の7月の平年値は、25.7℃です。0.6℃ずれています。

計算を間違えたのかと思って確かめると、そうではありませんでした。東京の観測地点は、2014年12月2日に引っ越しています。大手町から、北の丸公園へ。

気象庁が公表している、新旧2地点の同時比較観測(2012年4月〜2014年3月の2年平均)北の丸公園のほうが、年平均で 平均気温が約0.9℃低い/日最高気温が約0.2℃低い/日最低気温が約1.4℃低い。猛暑日の日数も、北の丸公園のほうが少なく出る。
0.9℃↓
移転にともなって、東京の平年値は16.3℃から15.4℃へ下がりました。気温が下がったのではありません。観測している場所が変わっただけです。

§04 の図に入れた点線が、この移転です。点線より右は、別の場所で測った値だということになります。

私の計算がずれていたのは、公表されている平年値が移転を補正した値で、私が使ったのが補正前の生の観測値だったからでした。計算は合っていて、意味が違っていた、ということになります。

07

平年並みの、平年が動いています

平年値には、もうひとつ知らなかったことがありました。

平年値は10年ごとに更新されます。いま使われているのは1991年から2020年の30年平均で、2021年5月19日から運用が始まりました。2030年まで使われます。

気象庁の発表によれば、その更新で年平均気温は全国的に0.1〜0.5℃高くなりました。さくらの開花は、ほとんどの気象官署で1〜2日早くなっています。

つまり、天気予報で聞く「今日は平年並みです」の平年は、10年ごとに書き換わっています。私がこどもの頃に聞いた「平年並み」と、今朝聞いた「平年並み」は、違う数字を指しています。

基準が一緒に動いていると、ズレは感じにくくなります。

08

覚えていたことは、正しかった

50年分を見て、分かったことを並べます。

  • 昔の夏が涼しかったのは、本当でした。猛暑日は1.4日から13.0日へ
  • 猛暑日のない夏が、2年に1回あった。いまは10年で1年もない
  • 暑い日が増えただけでなく、夏の期間そのものが前後に伸びた
  • 都市化の影響が少ない5地点でも、夏の平均気温は上がっている
  • ただし東京の記録は、途中で観測場所が引っ越している

最後にひとつだけ。この記事の東京の猛暑日13.0日は、たぶん少なめに出ています。気象庁の比較観測によれば、猛暑日の日数は北の丸公園のほうが少なく出るからです。2015年以降がその新しい場所の値なので、大手町のままだったら、もう少し多かったことになります。

控えめに見積もって、9倍でした。

私の体力は、たしかに落ちているのだと思います。それはそれとして、夏のほうも変わっていました。両方本当だった、というのが、50年分を開いてみた結論です。

記憶は、答え合わせをする相手がいて初めて、記憶のままでいられます。

覚えていたことが正しかったと分かるのは少し嬉しく、それを確かめてくれたのは記録でした。

それにしても、近年の夏は暑すぎます。

皆さまも、どうか無理をなさらず、熱中症にはお気をつけてお過ごしください。

参考文献・出典

すべて気象庁の公開データ・公表資料です。日別値・月別値は 2026-07-29 に取得しました。

  1. 気象庁「過去の気象データ検索」 data.jma.go.jp/stats/etrn/
    東京 47662/山形 47588/彦根 47761/宮崎 47830/伏木 47606/石巻 47592。日別値(6〜9月・1976〜2025年)と月別値を使用。
  2. 気象庁「日本の平均気温偏差の算出方法」 ds.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/clc_jpn.html
    都市化の影響が小さい15地点(網走・根室・寿都・山形・石巻・伏木・飯田・銚子・境・浜田・彦根・宮崎・多度津・名瀬・石垣島)。本記事はこのうち5地点を使用。
  3. 気象庁「観測場所の移転に伴う気温データの補正方法について」 data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/correction.html
  4. 気象庁観測部「『東京』の観測地点の移転について」(2014年11月14日) jma.go.jp/jma/kishou/minkan/koushu141114/shiryou1.pdf
    同時比較観測(2012年4月〜2014年3月の2年平均)の結果と、平年値の更新(平均気温 16.3℃ → 15.4℃)。
  5. 気象庁「地上観測地点『東京』の移転について」(2014年10月3日) jma.go.jp/jma/press/1410/03b/20141003_tokyo_rojo.html
  6. 気象庁「平年値の更新について」(2021年3月24日) jma.go.jp/jma/press/2103/24a/210324_heinenchi.html
  7. 気象庁「東京(東京都)平年値(年・月ごとの値)」 data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php

※ 集計期間は1976年から2025年の50年、6月1日〜9月30日(122日)のみ。猛暑日=日最高気温35.0℃以上、真夏日=同30.0℃以上。
※ 30年平均は平年値と同じく30年ぶんの月平均気温を単純平均したもので、 移転補正をしていない生の観測値のため、気象庁が公表している平年値とは一致しません。
※ 1994年の東京に日最低気温の欠測が1日ありますが、本記事では最低気温を使用していません。 山形の観測所に移転があったかどうかは確認していません。移転があれば、日数の推移にその影響が含まれます。
※ 東京の熱帯夜(日最低気温25℃以上)は使用していません。移転で最低気温が約1.4℃低く出るため、 日数の推移が観測場所の変更を反映してしまうためです。

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