Santa Works.
SANTA WORKS JOURNAL楽しむ道具と、つくる道具
子どもとAI

娘が欲しがったのはスマホで、
パソコンではありませんでした。

小学生の娘が、スマホを欲しがっています。友だちが持ちはじめたから、という理由です。まっとうだと思います。一方で、家には毎日私が仕事で使っているパソコンがあるのに、そちらにはいまひとつ興味がなさそうです。この2つを、私はどこかで分けて見ていました。楽しませてくれる道具と、楽しませるものをつくれる道具として。その線が、いま引きにくくなっています。

Santa Works2026.07.27読了 約5分子どもとAI / 出典つき

この記事のポイント

  1. 01スマホは楽しませてくれる道具、パソコンは楽しませるものをつくれる道具——私が勝手に引いていた線です。
  2. 02ただ、いまの子どもは学校から配られた端末を毎日触っています。触れていないわけではありませんでした。
  3. 03そしてAIは、使い方しだいでどちらの側にもなります。つくる入口は、もうパソコンの前だけではないのかもしれません。
きっかけ
01

欲しがるほうと、欲しがらないほう

スマホが欲しい、と言われました。友だちが持ちはじめたから、という理由です。まっとうな理由だと思います。反対する材料が、私のほうにあまりありません。

一方で、家にはパソコンがあります。私が毎日それで仕事をしているところを、娘は見ています。それでも、そちらにはいまひとつ興味がなさそうです。欲しいと言われたことは、まだ一度もありません。

私が勝手に引いていた線
スマホ
  • できること動画も、ゲームも、友だちとのやりとりも
  • はじめやすさ持った日から、迷わず使える
  • 向き面白いものが、むこうからやってくる
パソコン
  • できることスマホでできることは、だいたいできる
  • はじめやすさ置き場所も、覚えることも多い
  • 向き面白いものを、こちらから出せる
⚠️ これは私の頭の中にあった線で、正しさを主張するものではありません。この記事は、この線があとから怪しくなる話です。

楽しませてくれる道具と、
楽しませるものをつくれる道具。

私が娘に触ってほしかったのは、後ろ側のほうでした。

前提
02

ただ、これは私の願望です

正直に書くと、私は娘にパソコンを触ってほしいと思っています。私が個人でやっている仕事も、そこから始まりました。

ただ、それは私の願望であって、娘の興味ではありません。その年頃の子が友だちと同じものを欲しがるのは自然なことで、そこに「つくる側にまわってほしい」を乗せるのは、たぶん私の都合です。

つくる側が偉い、とも思っていません。私も、一日の大半は消費する側にいます。

補足:「ジョブズは、自分の子どもに渡さなかった」という話

よく引かれる話です。2014年のニューヨーク・タイムズ紙の記事で、記者が「お子さんはさぞ気に入っているでしょう」と尋ねたところ、スティーブ・ジョブズは「彼らは使っていない」と答えた、というものです※6

ただ、その会話は2010年、iPadが出た年のものでした。iPhoneの話ではありませんし、15年以上前の道具の話です。私の考えを補強してくれそうな逸話ですが、そのまま持ってくるのはやめておきます。

数字
03

うちだけの話では、ありませんでした

気になって、公開されている調査を見てみました。まず家庭の側です。

91.8% と 64.4%
スマートフォンを持つ世帯は 91.8%、パソコンを持つ世帯は 64.4%(令和7年)※1。4年前の令和3年はスマホ 88.6%、パソコン 69.8%でした。差は少しずつ開いています。
補足:パソコンは、一直線に減ってはいません

同じ調査で、パソコンの保有率は令和5年に 65.3% まで下がったあと、令和6年はいったん 66.4%まで戻り、令和7年に 64.4%へ。行ったり来たりしながら、ゆるやかに下がっています。「パソコンが消えていく」という話ではありません。

子どもの側は、もう少しはっきりしていました。インターネットに使っている機器の内訳です。

青少年がインターネットに使っている機器(令和7年度・n=3,060)
78.5
スマートフォン
こども家庭庁(令和7年度)
72.7
学校から配られた端末(GIGA端末)
同上
42.5
自宅用のパソコンやタブレット等
同上
小学生(10歳以上)のインターネット利用率は 98.5%※2。使っていない子は、ほとんどいません。

自宅のパソコンは 42.5%。ここまでは、思っていたとおりでした。ただ、その隣に私が見落としていた数字がありました。学校から配られた端末が 72.7%。

つまり、いまの子どもはパソコンに触っていないわけではありません。むしろ毎日触っています。うちの娘も同じです。

72.7% が触っている
私が感じていた引っかかりは、「パソコンに触れていない」ことではありませんでした。触ってはいる。ただ、決められた使い方をする端末としてしか出会っていない。そこが引っかかっていたのだと、数字を見て気づきました。
変化
04

AIが、この線を引きにくくしました

ここにAIが入ってくると、話がややこしくなります。AIは、どちらにもなるからです。答えをもらうだけなら、スマホと同じで楽しませてくれる側です。何かをつくるために使えば、パソコンと同じ側になります。同じ道具なのに、使い方で立ち位置が変わる。

そして、つくることの入口はもう下がっています。これは想像で書いているのではありません。私がふだん仕事で使っているコーディングの道具は、2025年10月からブラウザとスマホアプリでも使えます※3

実例:ただし「スマホだけ」ではありません

個人開発者が、この道具を使って開発の大部分をスマートフォンから行い、約2週間でアプリをApp Storeに公開した記録を公開しています※4。ただし、この方は要所ではMacも使っています(リポジトリの作成、ビルド環境の構築など)。「スマホだけで完結する」段階には、まだありません。

それでも、向きははっきりしています。つくるために必要だったものが、手元の機械の性能から、つくりたいものを言葉にできるかどうかに寄ってきている。

26.7% / 前年 9.1%
日本で生成AIを使ったことがある人の割合※5。1年で3倍近くになって、それでもまだ4人に1人です。この前提は、いまも動いている最中です。娘が大人になるころ、この数字がどうなっているかは分かりません。

私が「パソコンを触ってほしい」と思っていたのは、それが私の世代の入口だったからです。入口そのものが本質だったわけではないのだと思います。

いま
05

それでも、渡すのを少し待っています

結論は出ていません。いつ渡すか、何を渡すか、決めていません。急いで渡す理由も、急いで止める理由も、いまのところ見当たらないからです。ただ、渡すときに一度手が止まる自分のことは、そのまま信じておこうと思っています。

ひとつだけ、決めていることがあります。娘が何かをつくったら、それがどんなものでも、ちゃんと見る。

つくる側に人を引っぱるのは、
道具ではなく、見てくれる誰かのほうなので。

道具の話をずっと書いてきましたが、たぶん最後に効くのはそこだと思っています。私自身、つくったものを見てもらえたから続いています。Santa Works でポケメモをつくった理由を書いたのも、同じ理由からでした。

参考文献・出典

  1. ※1 総務省「令和7年 通信利用動向調査報告書(世帯編)」(令和7年8月時点・n=17,916。スマートフォン 91.8%/パソコン 64.4%。2026年5月29日公表) soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR202500_001.pdf
  2. ※2 こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」(2026年2月・青少年 n=3,060) cfa.go.jp/policies/youth-kankyou/internet_research/results-etc
  3. ※3 Anthropic「Claude Code on the web」(2025年10月20日発表。ブラウザおよび iOS アプリで利用可能) claude.com/blog/claude-code-on-the-web
  4. ※4 Zenn「Claude Code on the Web でスマホだけでアプリを開発しリリースしてみた」(記事本文によれば、要所では Mac も使用) zenn.dev/ruwatana/articles/claude-code-on-the-web-for-app-development
  5. ※5 総務省「令和7年版 情報通信白書」個人におけるAI利用の現状(日本 26.7%/前年度 9.1%) soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd112210.html
  6. ※6 Nick Bilton「Steve Jobs Was a Low-Tech Parent」The New York Times(2014年9月11日)。会話は2010年、iPad が発売された年のもの。※有料記事のため、リンクは張っていません

ヒーロー画像: Pexels(商用利用可・帰属表示は任意ですが、出典として記載しています)。
※ 本記事は公開されている調査をもとに構成しています。各数値は出典元の調査時点のものであり、調査ごとに対象・母数・時期が異なります。子育てや教育について一般的な助言をするものではなく、私個人が迷っていることをそのまま書いたものです。

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